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BRITANNIA LOSS PREVENTION 第13号 // 2025年2月 貨物の換気に 関する基本ガイド カーゴクレームの原因で多いのは、 結露の発生(「汗濡れ」)に伴う濡れ損です。 適切な換気は、余分な湿気を取り除き、汗濡れを起こしにくくするため、 貨物の劣化防止に役立ちます。 貨物によっては、二酸化炭素や一酸化炭素、メタンなどの有害ガスが 発生するため、それを消散するためにも換気が必要になります。 本号のパートナー Triglav Maritimeは、リスク管理、ロスプリベンションのほか、ベッティングや保険事案を中心に、 お客様それぞれに合わせた総合的なコンサルティングサービスを提供する会社です。 創業者のCapt. Ostrowickiは、海上職(船長)、陸上職を合わせて34年の勤務経験があります。 海上職時代は、ばら積み船、一般貨物船、コンテナ船で乗務。陸上職時代は、オペレーション・ マネージャー、マリンベッティング・ディレクター、ロスプリベンション・マネージャーを歴任し、 ドライ貨物船、タンカー、ガス船の運航やベッティングなどに従事しました。 同氏は、リスク管理と安全管理プロセスに対する専門的な助言を行っています。船舶事故や クレームの調査に加え、マネジメントレビュー、ISM監査、TMSA監査、データ分析による詳細な リスク評価を実施しているほか、さまざまな刊行物で記事も執筆しています。 固体ばら積み貨物を運送する場合は、 国際海上固体ばら積み貨物(IMSBC) コードの規定が適用されます。 IMSBCコードは、以下の点に関して、個別の貨物 スケジュールのほか、換気について記した第3節でも 一般規定を設けています。 酸素を欠乏させる貨物、毒性ガスを放出する貨物に 対する注意点 ホールド内での爆発性・可燃性雰囲気の形成防止 自己発熱する可能性がある貨物の(表層換気以外の) 換気の防止 有害なガス、蒸気、粉塵からの人員の保護 貨物船には、自然換気や機械換気のシステムが備わって います。船長と航海士が自船の換気システムの設計と 運用について十分に理解したうえで、正しくフル活用する ことが重要です。 自然換気システムは、相対風により生じる圧力差や、 外気とホールド内の空気との温度差により、機械動力を 使わずに空気を循環させます。 機械換気システムは、送気ファンで外気をホールドに 取り込み、貨物の上部空間を通風したあと、排気口から 船外に排出するという開放式が一般的です。 ホールド内から余分な湿気を除去する方法は他にも あります。(設置型や携帯型の)除湿機 の使用もその1つ でしょう。これは、冬場に寒冷地で鋼材を積み温暖地で 揚げる場合など、開放式の換気ができない、もしくは換気を しても貨物の損傷を防ぎきれないときによく用いられます。 湿度に関する主な用語 水が気体になった水蒸気は通常、 空気中では目に見えません。 相対湿度(RH)とは、空気中にある水蒸気の量が、 その空気が保持できる最大水分量に対してどのくらいの 割合かを百分率(%)で表したものです。つまり、相対湿度が 100%の空気は水蒸気が 飽和状態にあるということです。 空気は、温度が高いほど多くの水蒸気を保持できます。 温度が低下していくと、相対湿度は最終的に100%に達し、 周囲にある物質の表面や粒子上で凝結 (「結露」)が生じま す。この空気が飽和する温度のことを露点(DP)といいます。 空気中の水分量が多いほど露点も高くなります。 例えば、温度が20°C、相対湿度が90%の湿った空気は、 温度が18.3°C以下の表面に触れると結露します(つまり、 表面温度が少し低いだけでも結露が発生する。浴室の 鏡が曇るのと同じ原理)。一方、相対湿度が60%の乾いた 空気は、表面温度がさらに低い12°C以下になって はじめて結露します。 露点は、ホールド内の結露リスクを判断するための 重要な尺度となります。 貨物の換気 // BRITANNIA INSIGHT 2 ! 露点の計測 相対湿度と露点は湿度計で計測します。 湿 度計の一種である乾湿計は2本の温度計で 構 成されており、片方の温度計の球は濡れた ガーゼ(布)が巻かれて湿った状態に なっています。 この湿球温度計は、水の蒸発によって温度が下がるため、 乾球温度計より低い温度を示します。乾球と湿球の 各温度計の温度を露点表に当てはめると、露点を算出する ことができます。 貨物の換気 // BRITANNIA INSIGHT 3 振り回し式乾湿計は安価で扱いやすい一方、 以下のような欠点もあります。 手で振り回す必要があるため、計測のためにホールド内に 入らなければならない。ホールドの中に吊すだけでは 正確に計測できない。しかし、ホールド内に立ち入れない ケースも多い。 温度計の較正が必要。 乾球、湿球それぞれの温度を少し読み違えるだけで、 露点の算出結果が大きく変わってしまうおそれがある。 あらゆるデバイスと同様、電子式湿度計に関しても、 その精度はセンサーの質や較正に左右されます。質の高い 電子式湿度計は、一般的に振り回し式乾湿計に比べて 精度が高く、安全で使いやすいのが特徴です。 どのタイプの湿度計が適しているかは、ホールドへの アクセスの可否など、船舶と貨物の運航上・安全上の 条件によって変わってきます。 露点と相対湿度の計測結果は換気記録簿に記して おくことになっています。カーゴクレームを受けた場合に 抗弁材料として役立つでしょう。そのため、湿度計は 認証済み、較正済みのものを使用し、メンテナンスを十分に 行い、常に正しく計測できるようにしておくことが重要です。 使用する際は、事前にしかるべき訓練を受ける必要が あります。 これら2つと異なる利点を持つのが 電子式湿度計です。単体で持ち運べる 携帯型、有線プローブ付属型、 ホールド内に設置しておくことができる リモートセンサー型など、さまざまな タイプが普及しています。計測記録に タイムスタンプを付与することも できます。 図 3 電子式湿度計 出典 Senseca Germany GmbH 乾湿計の中で最も一般的な のが振り回し式乾湿計です。 手で振り回すと温度計の 周りに空気の流れが生じ、 ガーゼの水分が蒸発して 湿球の温度を正しく計測する ことができます。 図1 振り回し式乾湿計 出典 Zeal Ltd こうした欠点に対応したのが、機械仕掛けの ファン(ぜんまい式が一般的)によって 空気の流れを作る通風式乾湿計です。 通風式乾湿計は手で直接動かす必要が ないため、ホールド内に吊して使用する ことができます。手回し式より正確な結果を 得やすい一方、価格が高く、壊れた場合に すぐに修理できないという欠点があります。 図2 通風式乾湿計 出典 NovaLynx Corp 貨物の換気 // BRITANNIA INSIGHT 4 穀物など、もともと水分を含んでいる貨物は、放出する 水分が他の貨物に比べて多くなります。例えば、穀物貨物の 表層部の500トンで水分値が14%から13.5%に減ると、2.5トンの 水蒸気が放出されることになります。これだけの量の水分が 貨物上部空間に広がると、結露が局所的に発生し続け、 貨物に甚大な損傷を引き起こしかねません。 船体の汗濡れは、貨物上部空間にある大量の暖かく湿った 空気を湿度の低い外気(露点がホールド内の空気の露点より も低い空気)と入れ替えるなど、換気を適切に行うことで 防げるはずです。水分は貨物から放出され続けるため、 換気を可能な限り続けることも必要です。船体の汗濡れにつ いては、「温暖地から寒冷地への輸送時は換気を大胆に」と いう経験則があります。 貨物の損傷と換気 貨物の特 性によっては、以下のような 要因により損傷が起きやすくなります。 生物学的劣化 農産物貨物は、カビの胞子や酵母菌、バクテリアを含んで います。これらは貨物の温度や水分値(MC)が十分に 低ければ活動しませんが、高くなると微生物の活動が 非常に活発になり、カビの発生、腐敗、発酵によって 貨物の損傷を引き起こしてしまいます。換気を適切に 行えば貨物の水分値が下がるため、これらの現象を防止、 または遅らせることができますが、穀物をはじめとする ばら積み貨物は換気を実施しても積荷の奥
Loss Prevention Insight - Essential Guide To Understanding Cargo Ventilation
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