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2022年2月1日 制裁措置 - 最近の偽装行為の手口 (Sanctions – Recent Deceptive Practices) はじめに 世界貿易の90%に海上輸送が関わっているという事実を反映して、2010年以降、多くの制裁措置が海運業界や関 連業界に向けられてきました。 本Circularの目的は、各国政府や国連などの国際機関による制裁制度に反する活動に従事する当事者たちによる 偽装行為の手口について、メンバーの皆さまに知っていただくことにあります。 国際P&Iグループ(IG)や取引先が確認した最近の偽装行為の手口 貿易制裁は、各国政府が個々の外交政策目標を推進するために広く適用されていますが、海上貿易における活動 規制という観点では以下の国・地域が特に関連します。 • イラン • シリア • ベネズエラ • 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮) • クリミア • キューバ • ベラルーシ 国内外の貿易制裁に違反して取り引きされる貨物は増加傾向にあるようです。イランからの石油輸出は、当初は制 裁措置により、大幅に制限されていましたが、米国の共同包括行動計画(JCPOA)からの離脱後は1日当たり推定 34万バレルであったものが、2021年3月には1日当たり130万バレルに増加していると思われます 1 。ここ数週間、イ ランとベネズエラが関与するアジア市場向け石油貨物のスワップ取引が広く報道されています 2 。国連安全保障理 事会の北朝鮮専門家パネルは、2021年9月、海運と北朝鮮に関する広範な国連制裁違反について詳述した中間報 告書を発表しています。同報告書はこちらのリンク先(S_2021_777_E.pdf (securitycouncilreport.org) )からご覧いただ けます。 制裁回避に利用される手口には、数年前から使用されているものもあれば、この1年半の間に広まった新しいもの もあります。いずれの手口も、船舶、貨物、地理的位置、航行活動を特定する情報を混乱させたり、隠蔽したりする ことにより、監視や摘発から逃れることを目的としています。こうした手口により、船主やその取引相手は気付かぬ うちに制裁対象貨物の輸送に利用されるリスクにさらされています。 1 Iran Sanctions(対イラン制裁)米国議会調査局 https://crsreports.congress.gov RS20871 2 「米国の制裁下で、イランとベネズエラが石油輸出契約を締結」ロイター通信2021年9月25日 制裁回避の手口には以下のようなものがあります。 • 船舶のAIS(自動船舶識別装置)を操作し、船舶の位置の偽装や、船舶のデジタル識別信号の改ざんを 行う。 • 船舶の外観を変更する。 • 船舶や貨物に関する書類を改ざんする。 • 貨物が制裁対象国原産であることを隠蔽するために、船舶間の貨物積替作業を複数回実施する。 これらの手口はすべて、法令遵守の枠組みを適切に導入していない船主に、自船が知らぬ間に制裁対象貨物の輸 送に利用されるリスクをもたらすものです。 AISの不正操作 国連の報告書や米国・英国のガイダンス 3 では、法令遵守の枠組みの適切な導入の一環として、船舶のAIS信号の 送受信を監視する必要性が特に強調されています。 しかし、AIS技術やAIS用のハードウェアとソフトウェアは、そうした目的のための設計されたものではありません。 AISの目的は、沿岸海域を航行する船舶を確認し、衝突のリスクを最小化することにあります。AISの役割は安全を 促進することであるため、送信された信号に対する不正操作を防ぐようには設計されていません。また、船舶の安 全と危機管理のためにAISを停止することは依然として合法とされています 4 。 信号の操作や停止が可能なことから、AISは制裁違反を行う者に悪用されやすくなっています。AIS送受信機には、 偽装データの送信を防ぐためのセキュリティ機能が内蔵されていますが、この機能はメーカーにより異なり、回避で きる可能性があります。機種によっては、パスコードを使用してエンコード内容を変更できるものもありますが、パス コードは必ずしも十分に保護されているわけではありません。 AIS送受信機に直接手を加えるだけでなく、複数のAIS送受信機を購入し、1隻の船舶から複数のAIS識別符号を作 成する手口もあります。船舶の識別情報を改ざんし、船舶を物理的またはデジタルに偽装する手口はますます一般 的なものになってきています。 現在使用されている手口には以下のようなものがあります。 3 米国の国務省、財務省外国資産管理局(OFAC)、コーストガードは、関連業界のデューディリジェンスプログラムを支援するため、2020年5月、 「Global Maritime Sanctions Advisory」を発表し、船主、旗国、船級協会、銀行、保険会社などの様々な海運関連セクター向けに法令遵守指針を提供し ています。英国金融制裁推進局(OFSI)も同年7月、英国の海運セクター で活動する事業者や個人の法令遵守義務に対する 理解を支援するために独 自のMaritime Guidanceを発表しています。いずれのガイダンスも、包括的な制裁遵守プログラムを企業の運営実務に適切に組み込むことの重要性を 強調しています。 4 「1974 年の海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)」の規則V/19は、国際航海に従事する300総トン以上のすべての船舶、国際航海に 従事しない500総トン以上の貨物船、およびあらゆるサイズの旅客船について、規則V/19.2.4で規定された船舶自動識別装置(AIS )の搭載を義務付け ています。AISを解 除できる状況については、IMO決議 A.917(22)の21段落をご参照ください。- . A 917 22 (imo.org) 。SOLAS規則V/34-1「船主、傭船 者、規則IX/1に定義される船舶を運航する会社、またはその他の者は、船長が専門的判断により、海上の人命の安全及び海洋環境の保護に必要な 決定を行うことまたは決定を実行することを妨げたり制限したりしてはならない。」 1. AISの電源を切る SOLAS条約は特定の状況でAIS送受信機を停止させることを認めていますが、制裁逃れに関与する船舶は、船舶 の位置や動きを隠すためにAISの電源を切ることがあります。これは、船長がAISの電源を切ってもよい正当な理由 や、適切に送信された信号であっても常に受信できるとは限らないという事実につけ込んだ、単純な手口を使う制 裁違反者にとって依然として一般的なやり方です。 したがって、STS作業に従事する場合は、相手船のAIS送信履歴に空白期間がないかどうかを監視することが推奨 されます。相手船の監視には、AIS信号送信の空白期間に違法行為が行われていたかどうかを検証するために追 加のコンテキスト情報やアルゴリズムを使用するAIS監視プラットフォームや民間企業が提供するサービスを利用で きます。 単純な例として、オマーン湾に入る際にAIS送受信機の電源を切り、制裁対象貨物の積載またはSTS作業後に再び AISの電源を入れることで制裁を回避しようとする場合が考えられます。より巧妙な手口では、AISの電源を切る前 に偽の航路が捏造され、船舶の真の航路が偽装されることも考えられます。 2. GPS/GNSSの不正操作(位置情報の偽装) 船舶がAISから発信する位置情報を改ざんし、船舶の実際の位置を偽装する制裁違反者もいます。 GPS/GNSS(全球測位衛星システム)による偽装(spoofing)の最も初歩的な例は、同じ位置でAISの更新を繰り返 すことです。巧妙な手口になると、AISから実際にありそうな信号が発信され、衛星画像、実際の船舶の目視、合成 開口レーダー(SAR)の記録といった他の情報と照合しなければ偽装された信号かどうかを識別できない場合があ ります。IGは、GPS/GNSSの偽装により、制裁違反を行う船舶の真の位置を隠す事例が増加していることを懸念し ています。 船舶の実際の位置を確認するために必要なデータセットを評価できるAIS監視プラットフォームの専門業者の利用 を検討するとよいでしょう。 3. AISの悪用 AIS送信を
Sanctions Recent Deceptive Practices 02 2022 Japanese
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