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第14号 // 2 026年2月 BRITANNIA LOSS PREVENTION ばら積み大豆貨物の輸送: 海運事業者向け解説 大 豆貨物の輸送は、ばら積み農産物の輸送の中で 大きな割合を占めています。 大豆は、高タンパク・高油分を主な特徴とする油糧作物で、 植物油や動物用飼料のほか、バイオ燃料などの工業用にも用いられるなど、 さまざまな産物の原料となっています。近年では、アジアにおける畜産業の 活発化を受けて、大豆油と大豆ミールはともに需要が急増しています。 本号の パートナー CWAの食料・農産物部門では、畑から消費者までサプライチェーン全体に 対して、食料や飼料、その他の乾燥農産物など幅広い農産物に関する 専門的助言を行っています。中でも力を入れているのは、こうした農産物の ばら積み、在来、バッグ、ボトル、ドラム、冷蔵、冷凍、コンテナ輸送に関する 助言です。 また、食料、飼料、その他農産物を国際輸送する場合の品質管理に対して、 特に損傷の原因、数量、食の安全、ロスプリベンションの面で科学的、商業的な知見を 取り入れています。さらに、科学面、実務面、商業面での経験を基に貨物の利用、 救済、処理に関する助言を行うことで、損失軽減をサポートしています。 大豆の最大生産国・輸出国は、 ブラジル、米国、アルゼンチンです。 中国は依然として大豆の最大輸入国であり、2025年9月の 輸入量は1,290万トンと過去最高を記録し、同年1~9月の 輸入量は8,618万トンに上っています。ブラジル全国穀物 輸出業者協会(ANEC)発表のデータによると、中国は ブラジル産大豆の最大の輸出先で、同国の大豆輸出の 79%強を占めています 1 。大豆は年に1度収穫され、 収穫時期は北半球が9~11月、南半球が12~6月です 2 。 国際貿易の際はばら積み船でばら積み貨物として 輸送され、船舶から陸揚げされた後、加工工場で 圧搾され、油とその絞りかすの大豆ミールが生産されます。 近年、大豆の貿易パターンは大きく変化しています。 関税措置や地政学的緊張の広がりを受けて、中国が 米国からの輸入を減らしているためです。その結果、 ブラジルが主な輸入先になるなど、南米への依存度が 高まっています。この変化は海運業界にとっても重要な 意味を持ちます。しかし、こうした中、中国では、他の 穀物の混入により農薬濃度への懸念が生じたとして、 一部のブラジル産大豆貨物について、輸入が差し止め・ 拒否されるケースも最近報告されています。 ブラジルから中国向けの輸送は、貨物クレームの件数が 多いことで知られています。この背景には、貿易規模の 大きさ、航海上の問題の両方があります。ブラジルから 中国までの航海は非常に長く、30~40日以上を要する ことも珍しくありません。赤道や熱帯地域を通過するため、 貨物温度の変化幅も大きくなります。米国積みの場合も これらの地域は通過しますが、ブラジル積みの方が 航海時間が長いため、貨物が輸送状態にある時間も その分長くなり、その間に貨物が不安定になって劣化する おそれがあるのです。クレーム件数の多さの一因には、 この航路の輸送量が多く航海時間が長いことも ありますが、大豆固有の生物学的特性も関係しています。 ばら積み大豆貨物 // BRITANNIA INSIGHT 2 また、品質基準が両国で異なることも一因と言えるでしょう。 ブラジルで大豆を船積みする際は、現地の基準に基づいて 品質の評価・認定が行われますが、いくつかの重要な 指標が中国の基準と異なっているのです。例えば、 許容水分値はブラジルでは14%であるのに対し、中国では 13%で、熱損傷も分類基準が異なります。 中国では、遊離脂肪酸値(FFA値)やタンパク質溶解性 など、積地において丸大豆の状態での試験結果を得て いない指標に関して、加工済み製品の試験結果だけを基に クレームが提起されることも多々あります。こうした生化学的 品質は大豆の熱損傷の有無を判断する際に役立ちますが、 積地で試験されないケースも多いため、揚地の試験結果 だけでは、航海中に状態が変化したかを判断することは できません。 中国でのクレームと並んで、最近はイタリアでのクレームも 増加傾向にあります。その多くは、自己発熱により温度が 上昇した状態で貨物が到着したことによるものです。こうした 熱損傷クレームは中国に比べて規模は小さいものの、 大豆輸送の問題は特定の航路に限ったものではないという ことが、ここからよく分かります。イタリア向け輸送の 特徴は、貨物がすぐに加工されるのではなく、いったん 貯蔵施設に運ばれるという点です。そのため、クレームを 巡る係争では、船上での貨物管理に加え、陸揚げ後の 貨物の取り扱いが焦点になる傾向にあります。 大豆は輸送量が増え続けていますが、劣化しやすく、 それに伴うクレームも増加していることから、運送人は、 利益を守るための実用的な対策を把握し講じることが 重要です。本資料では、大豆貨物に関する主なクレームの 種類、輸送中の劣化の原因となる状況、輸送中の各段階に おいて推奨されるロスプリベンション対策について 考察します。 1 UkrAgroConsult - 中国、9月の大豆輸入が過去最高。 調達先分散の動き示す。 https://ukragroconsult.com/en/news/china-soybean-importsset-record-in-september-demonstrating-potential-of-tradediversification/ 2 米 国農務省 - ブラジル収穫予定表 https://www.fas.usda.gov/data/production/br クレームの種類 大 豆貨物は不均質で、1回分の積荷を 作るために、複数の農場やサイロ、 保 税倉庫などから集められています。 そのため、外観上は規格を満たしていても、積荷内で 品質や化学組成にどうしてもばらつきが生じてしまいます。 混合サンプルや品質証書に比べて水分値や温度が高い ロットや、船積み前に長期間貯蔵されていたロットが 含まれている可能性もあります。農産物はカビの胞子や 微生物を含んでいるため、こうしたばらつきは決して 看過できません。水分値や温度が高いロットがあると、 微生物が増殖しやすい条件が整ってしまうためです。 輸送中の大豆の水分値と温度は、貨物の安定性を 左右する重要な要素となります。微生物は暖かく湿った 環境で活性化し、呼吸によって生じた熱を周囲に 放出します。そして、局所的に温度が上がると大豆の 脂質の酸化が進み、その過程でも発熱し、その熱でさらに 微生物が活性化するという自己発熱サイクルが生じます。 図1は、船上で長期間貯蔵したときの貨物温度の 上昇過程を示したものです。 3 図2 固結部分は温度が高いことが多く、カビが目立つこともある (中央の白い部分)。 ばら積み大豆貨物 // BRITANNIA INSIGHT このサイクルが確立すると、積荷全体に広がっていき、 自己発熱やカビの発生、大豆の固結を引き起こし、最終的に 熱損傷してしまうおそれがあります。発熱が激しい場合や 長期に及ぶ場合は、温度が上昇して大豆が炭化する、 あるいは火災が生じることにもなりかねません。ただし、これは 極端なケースであり、貨物の不安定な状態が長期間続かない 限り、ここまでの事態になることはないでしょう。 次ページへ続く 図1 大豆貨物の輸送遅延による温度上昇の例。遅延期間中、サーベヤーと船員により定期的に温度を計測。 4 ばら積み大豆貨物 // BRITANNIA INSIGHT 劣化の程度や性質は多くの場合、ラボでの分析で判断が可 能です。生化学的指標を試験することで大豆の 内部組成の変化を測ることができます。その主な指標として 用いられるのが、タンパク質溶解性とFFAの2つです。大豆 は高温にさらされると、タンパク質の変性や、本来の構造の 分解が起き、構造の疎水部分が露出して溶解性が低下しま す。つまり、タンパク質の溶解性を見れば 熱損傷の程度が分かるというわけです。タンパク質の 溶解性が低下すると、その大豆から作られる大豆ミールの 栄養価にも影響が生じます。変性タンパク質は消化され にくいためです。正常な安
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